日建のお役立ちコラム

気密測定器と正しい手順で高気密な家づくりを実現する方法

建物の気密性が高まることで、省エネルギー効果や快適な住環境の実現に繋がります。
そのため近年では、住宅の気密測定を行うことが一般的になりつつあります。
しかし、実際に気密測定を行うとなると、どのような機器が必要なのか、どのように測定すればいいのか、測定値をどのように解釈すればいいのか、といった疑問が湧いてくるかもしれません。
今回は、気密測定に必要な機器から測定手順、測定値の解釈まで、実践的な情報を提供します。

気密測定に必要な機器

気密測定器本体の選び方

気密測定器本体は、建物の気密性能を測定するための重要な機器です。
選び方のポイントは、測定範囲、精度、操作性です。
測定範囲は測定対象となる建物の大きさや気密性能に合わせて選びます。
また、精度は測定結果の信頼性を左右する重要な要素といえます。
操作性は測定作業の効率性を左右するため、使いやすさやデータ記録機能なども考慮すると良いでしょう。
機種によってはBluetoothによるデータ転送に対応しているものもあり、作業効率の向上に繋がります。
さらに、アフターサービス体制もしっかりと確認しておくと安心です。
加えて、予算も考慮しながら最適な機種を選びましょう。

送風機の選び方と使い方

送風機は、建物の内部に一定量の空気を送り込むために使用します。
選び方のポイントは、風量と風圧です。
風量は建物の大きさや気密性能に合わせて選びます。
一方、風圧は漏気箇所を特定するために必要な要素なのです。
使い方は、送風機を適切な位置に設置し、設定された風量で空気を送り込むだけです。
ただし、送風機の風量や風圧が適切でないと、正確な測定結果が得られないため注意が必要です。
送風機は測定器本体と接続して使用するため、互換性があるか確認する必要があります。
また、送風機の騒音レベルも確認しておくと、近隣への配慮ができます。

その他の測定機器と選び方

気密測定には、気密測定器本体と送風機以外にも、いくつかの機器が必要となる場合があります。
例えば気密テープやシール材は、開口部の気密性を高めるために使用します。
選び方のポイントは粘着力と耐久性です。
また、温度計や湿度計は、測定環境の温度や湿度を測定するために使用します。
これらの測定値は、気密測定結果に影響を与える可能性があるため、正確に測定することが重要です。
さらに測定結果を記録するための記録用紙やパソコンなども必要になります。
例えば、専用のソフトウェアが提供されている場合、データ管理や分析が容易になります。

気密測定の手順はどうやるの?

測定前の準備と注意点

測定前に、建物の開口部(窓、ドア、換気口など)を適切にシールします。
シール材の選択は、素材や粘着力などを考慮し、適切なものを選びましょう。
また測定前に、室内の温度や湿度を安定させることも重要です。
測定時は、換気扇やエアコンなどの稼働を停止し、測定環境を一定に保ちます。
測定対象となる建物の状態を事前に確認し、予期せぬ問題が発生しないよう、準備を万全に行いましょう。
例えば、測定に必要な人員を確保しておくことも大切です。

開口部の適切なシール方法

開口部は、気密測定において重要な測定ポイントです。
窓やドアなどの開口部は、気密テープやマスキングテープなどを用いて丁寧にシールします。
シールする際には、隙間なくしっかりと密着させることが重要なのです。
特に窓枠とサッシの隙間などは、丁寧にシールする必要があります。
シール材の種類によっては、剥がす際に残りが生じる場合があるため、材質の選択も重要です。
またシール後、テープの浮きがないか確認し、必要に応じて貼り直しましょう。
さらに、シールした部分に番号を振っておくと、測定後の確認作業がスムーズになります。

気密測定器の操作方法と設定

気密測定器の操作方法は、機種によって異なります。
そのため事前に、取扱説明書をよく読んで操作方法を理解しておきましょう。
設定項目には、測定範囲、測定時間、測定単位などがあります。
測定器が正しく設定されているかを確認し、誤差が生じないように注意します。
測定を開始する前に、校正を行っているか確認するのも重要です。
例えば、定期的に校正を行うことで、測定器の精度を維持することができます。

測定結果の記録方法

測定結果は、測定日時、測定場所、測定値などを記録します。
記録方法は、手書きでもパソコンでも構いません。
ただし、後から見返せるように、整理された記録方法をとることが大切です。
また、測定結果の写真や動画を記録しておくことで、後日の確認や分析に役立ちます。
記録には、測定に用いた機器の情報や測定環境の情報なども併記しておくと良いでしょう。
加えて、測定中の気づきや問題点なども記録しておくと、次回の測定に活かせます。



気密測定の値の解釈

C値と相当隙間面積の意味

C値は、住宅の気密性能を表す指標で、1㎡あたりの隙間面積を表します。
C値が低いほど、気密性能が高いことを示します。
相当隙間面積は、建物の外皮全体の隙間面積を換算した値です。
C値と相当隙間面積は、どちらも建物の気密性能を評価する指標として用いられます。
これらの数値を理解することで、建物の気密性能を正確に把握することができます。
例えば、C値が低い住宅は、省エネルギー性能が高い傾向にあります。

測定値の評価基準と対策方法

測定値の評価基準は、建築基準法や省エネルギー基準などで定められています。
測定値が基準を満たしていない場合は、漏気箇所を特定し、適切な対策を行う必要があります。
対策としては、シール材の追加や開口部の修繕などが挙げられます。
対策後、再度測定を行い、基準を満たしていることを確認します。
また、専門業者に相談することで、より効果的な対策を施すことができます。

よくある測定ミスと対処法

よくある測定ミスとしては、開口部のシールが不十分であったり、測定器の設定が間違っていたりすることが挙げられます。
これらのミスを避けるためには、測定前に十分な準備を行い、測定手順を正確に守ることが重要です。
もし測定ミスがあった場合は、原因を特定し、適切な対処を行う必要があります。
再測定を行う場合は、前回までの記録を参考に、より正確な測定を目指しましょう。
例えば、チェックリストを作成することで、測定ミスを減らすことができます。

まとめ

建物の気密測定は、省エネルギー化や快適な居住空間の確保に不可欠な作業です。
この記事で紹介した情報を参考に、正確な測定を行い快適な住まいを実現してください。

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